毛細現象を利用したCHS (Capillary Hoop Stove)で勉強。CCレモン缶でも作れる。スリット孔にしてみたけど、どうかな? – 空き缶でアルコールストーブ(コンロ)自作。
とても興味深い原理で動作するアルコールストーブを見つけました。TETK氏によって開発された、CHSというアルコールストーブです。これは、起動時間(本燃焼になるまでの時間)が10秒以内で、しかも力強く燃えてくれるという、かなりの優れものです。しかも、中空度が高いため、キャップのように他の容器にかぶせて収納することができ、省スペース面でもかなりのもの、SiSOが考えている収納場所にもぴったりです。
毛細現象でアルコールを副室に持ち上げるという発想
前のエントリにて、アルコールの気化を促進するために、アルコールを沸騰させる話を書きましたが、30ccとか入っていると、沸騰するまでの時間もかなりかかります。例えば、以前製作したサイドバーなータイプだと1分近くかかります。ところが、この、CHS (Capillary Hoop Stove)、毛細現象でアルコールを上部まで少しだけ持ち上げ、それを熱するため、沸騰するまで時間がとても短く、しかも、燃料の量に影響されにくいという、素晴らしい特徴があります。
参考にさせていただいたのは、TETK氏のこちらのエントリです(http://tetk.seesaa.net/article/351661261.html)。
構造的にも、ほぼ、缶半分、という感じで、他の容器にキャップのようにかぶせることができます。しかも、製作もそれほど難しくないため(たぶん)、もう、「発明!」と呼んでいい領域のアルコールストーブだと思います。
CHSに使えるアルミ缶
条件として、フランジ部分と缶の太さがほぼ同じぐらいのもの、ということがあります。これがアルミ缶になるとなかなかないのです。アルミ缶の方が軽量で工作が簡単なので、ぜひ、アルミ缶で行きたいところです。CHSのエントリでは、「UCC Black 185ml」を使っています。
我が家にもそれらしい缶が転がっていたので計測してみましたが、案の定、フランジ部分が小さくなっています。
オリジナルで指南されているように、「UCC Balck」を使えば簡単なのですが、せっかくなので、違うものを探してみました。で、家族で消費しそうな飲み物で近所のスーパーに打っていたのが、C.C.Lemonの160ml缶です。これならいけそうです。探し方ですが、スーパーで缶がたくさん並んでいるのを上から見れば、隣の缶とフランジがくっついているかどうかがわかります。
直径をノギスで計測してみたところ、約0.2mmの差でした。缶中央部はもう少し細いので、これなら大丈夫でしょう(実は中央部は柔らかくてうまく測定できないのです)。
CHS製作開始
というわけで、缶のトップを丸く切り抜きます。オープンジェットタイプなんかでも、皆さん、トップの大穴をどうやって空けるかよく悩まれていますが、今回、ダイソー(100円ショップ)にてコンパスカッターを見つけたので使ってみました。でも、すぐに切れなくなってしまいました。そんなわけで、切込みだけ入った状態で、後はペンチでムリムリとちぎっていきます。
切込みは入っているので、ぎりぎりのところをペンチでうまく引っ張っていけば、そこそこきれいに切り取ることができます。なんか、コンパスカッター、買わなくてもよかったかな?この辺だったら、普通のカッターナイフでもできそうです。
というわけで、コンパスカッターですが刃がすぐに丸くなってしまいました。なんか、本体に、「替え刃3枚入ります!」ということが書いてあったのですが、替え刃が入っているわけではありませんでした。がっくし。それほどメリットを感じなかったので、次からは普通にカッターナイフでやります。ここに取り付けられるちょうどいいサイズの良質な刃があればいいのですが、手元のPカッターとかデザインカッターの刃ではダメでした。
というわけで、適当に16等分して線を入れていきます。
今回、上から45mm(だいたい半分ぐらい)で切りました。今まで、何度か切っているので、だいぶ慣れてきました。
切り離したら、ハサミの刃を使ってへこみを作っていきます。缶の上の方の丸みのあるところは、「ペコ」っという感触がとても気持ちいいです。でも、イマイチ、どれくらい、へこみを作っていいのかわからないので(後で、しっかりへこました方がいい、ということがわかりました)、だいたいで…。あとは、切込みを入れてスカート状にします。これにより、燃料のアルコールが、よりしっかり吸い上がるようになります。
低くて力強い炎が出るように一工夫(改悪かも?)
ここからちょっとCHSから外れます。ジェット孔ですが、オリジナルでは0.8mmのドリルを使っています。ただ、そんなに細いのが我が家にありません。
また、今回、「低くて力強い炎」を目指していますので、恐らく、0.4mmぐらいのドリルで16個ぐらい孔をあければ、目標に近づけそうな気がするのですが、そんなに細いドリルは持っていません。そんなわけで悩んだ末、ダイヤモンドやすり(これも100円ショップ調達ですが)のエッジの効いているやつで、スリットを入れてみることにしました。今回は試作機と割り切って、適当にザクザクっとやってから、手でぐぐっと缶下部に圧入しました。
うぐ、ヒダがべっこり飛び出してしまいました。手で押さえてみましたが、やっぱり飛び出したまま。ここは、毛細現象でアルコールを上部に持ち上げる部分ですので、性能にだいぶ影響がありそうです。もっと溝を深く形付けて、全体の直径を減らすべきでした。初作ということで、いろいろと経験中です。それでも、なかなか美しいです。
というわけで、とりあえず燃焼してみました。うーん、穴の大きさにだいぶバラつきがあるようです。工作そのものは難しくありませんが、スリット式だと均質性を出すのが難しいですね…。ドリルでしたら、1.5mmのドリルを使えば1.5mmの穴がだいたい空くわけでして、スリット加工の場合、もう少し再現性の高い加工方法を考える必要があるようです。
低く力強い?炎が出ているような気がしないでもないですが、ばらつき具合が超イマイチです。クリース加工に失敗しているよりも、スリットの加工が均質になっていない方が大きいような気がします。比較用に、ジェット孔タイプのやつも作ってみようかなぁ。炎そのものは、なんとなく狙った感じになっているような気もするので、スリット加工方法は、もうちょっと考えてみます。
今日の一言二言三言
縦縞を 眺めて楽しい キャピラリ
次はもっと きれいに作るぞ
ちょっとクリース(内側のヒダヒダ)が膨らんでしまいましたが、もう少し強めにヒダをへこませれば直径が小さくなって全体的にうまく変形するようになると思うので、次回はしっかり折り目を付けようと思います。
空き缶でアルコールストーブ(コンロ)自作のまとめ。
空き缶でアルコールストーブが作れる!と知って試しにサイドバーナータイプを作ってみたら、しっかり炎が出てちょっと感激。以来、あれこれ妄想を加えながら楽しく改良しています。何しろ材料が空き缶ですから、懐にもやさしくていいですね! |
落描解説:キャピラリ・フープ・ストーブの原理です。最初、なかなか理解できなかったのですが、缶の内側にクリース(溝)をつけることで毛細現象による燃料の上部への持ちあげを行い、持ち上がったわずかな燃料を熱で気化させるため、すぐにバーナー状態になるという、超優れものでした。
はじめまして。アルコールストーブの事を最近知りました。自作する人が多いようなので私も真似事をしてみました。初め燃料アルコールが無いので適当に灯油で試してみたんですが全然駄目で、今日近所の店で購入した燃料アルコールを使用したところ一応何とかなりました。こちらの毛細管ストーブを参考に致しましたが、適当な空き缶が手に入らず、普通のビールの空き缶を使用しました。缶を半分に切り飲み口が有る方の缶に溝と切れ目を付けてもう片方の缶の中に押し込みます。外側の缶Aは内側の缶Bより1センチほど長くしておきます。AにBをはめるとAの縁がBよりはみ出しますので、それを親指で内側に折り込んで行きます。折り込みと折り込みの間に襞のように立つ部分が出来ますから、そこを噴射口にします。SiSOさんのように丁寧な工作ではないのですが、このやり方でも出来なくはないようです。燃料アルコールは初めて使いましたが、あんなに燃え易いとは思いませんでした。ちょっと冷や汗かくような場面も有りまして、次回からは充分気を付けたいと思います。